2019/05/10

Hector Lavoe / Que Sentimiento! ('81)

A1Amor SonadoB1Soy Vagabundo
A2Lo Deje LlorandoB2El Son
A3JuventudB3Seguire Mi Viaje
A4Yo'Ta CansaB4No Hay Quien Te Aguante
 私はサルサのことも、ファニアのことも、エル・カンタンテのこともあまりよく知らずに、中古レコード屋さんの店頭でたまたま手に取ったこのアルバムを買いました。聴いてみると、うん、いいアルバムだな、それなりの制作予算をかけて、腕の立つスタッフが作り上げた上質なサルサだな、そう思ったのです。

 聴いているうちに、歌っているエクトル・ラボーはどんな人なのかな、と気になり、グーグル検索をすることになります。あらまあ、凄惨な人生を送って若くして亡くなったのね。
 このような歌い手の非業を知ってしまうと、素直に、虚心坦懐にアルバムを楽しむことができなくなります。陽気な曲を歌っていても、つらいことを乗り越えてがんばっているんだなあ、なんて憐憫の情が生じてしまうのです。
 実人生を知ってしまった途端、作品が「重くなる」のです。

 私は音楽を、聴いて楽しみたい。それだけです。アーティストやミュージシャンに対して『知ってるつもり?!』のような興味はせんほどありません。
 だったらグーグル検索なんかしなきゃいいのに、してしまう。なぜでしょうか。
 何でもかんでも、とりあえず検索しないと落ち着かないネット世代だから。それもあるでしょう。あるいは、余計な知識を仕入れることにより、駄盤が名盤に転ずる魔法を探し求めているのかもしれません。
 そんな魔法、あるわけないのに。

 駄盤は駄盤。名盤は名盤。アーティストやミュージシャンの人生物語を注入したところでやっぱり、駄盤は駄盤。名盤は名盤。何をもってしても、変えることはできません。
 しかし、情報を上手くコントロールすれば、売り上げを伸ばせるかもしれません。いえ、実際にメガヒットを叩き出した例が、数年前にありました。
 佐村河内守という作曲家が「被爆者2世、全聾」というストーリー付きで大々的に売り出されると、文字通り飛ぶように売れたのだそうです。
 これはこれでいい。アンドレ・ザ・ジャイアントが木こりだった、みたいな話だと思えば。
★★★

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