2018/07/19

Walter Jackson / Good to See You ('78)

A1I Won't Remember Ever Loving YouB1Good to See You
A2If I Had My WayB2Open Up Your Heart
A3We Could FlyB3For Getting Someone
A4Manhattan SkylineB4Time
A5If I Could See MyselfB5
 松葉杖のソウル・シンガー。

 ウォルター・ジャクソンは病気の後遺症で足が不自由になり、松葉杖をついて歌っていたそうです。これを知って、私は複雑な気持ちになりました。 ハンデと闘って、がんばった人。そういうストーリーを勝手に思い浮かべてしまったのです。

 たとえばミゼット・プロレスを見て、「かわいそうな人たちだ」と憐れんでしまうような、思いやりの陰に隠れた増上慢を、自分の中に感じました。
 イヤな感じ。ああイヤだ。イヤすぎる。

 身体障害の有無と、音楽の出来は関係ないと思います。ピアニストの辻井伸行さんが海外のコンクールで優勝したのは、決して
「盲目なのに、こんなにピアノ弾けるなんてスゴイ」
という驚きや労い、あるいは憐憫からではなかったはず。

 つまり、音楽は音楽でしかなく、音楽の外のストーリーを持ち込んだ時点で、もはや音楽ではないということです。レコードを吹き込むに至るまでの苦労話なんて、障害の有無にかかわらず、ミュージシャンならいくらでもあるわけで、どれだけ苦労しようとも、できあがった音楽がクズならそれまで。

 ところが障害者のミュージシャンだと、どうも事情が違ってくるような気がしなくもない。
 障害者ミュージシャンがハンディキャップを克服するべくたいへんな努力を重ねました、というような話は本来、音楽の質とは関係のないもの。

 しかしそうやって完成した音楽がクズだったとして、クズと斬って捨てるのはなかなかできません。「よくがんばった」なんてほめてしまいそう。

 これはやさしさと表裏一体の、健常者の傲慢ではないのか。障害者を「劣等者」扱いするに等しいこと。こんなことは、もうやめましょう。私はやめます。クズならクズと遠慮なく言わせてもらう。

 というわけで、今日もわけわからんこと書いてしまいました。言いたいことがうまくカタチにならず、もやもやしています。障害者について何か書こうとすると、極端に気を遣ってえらく疲れます。

 このこと自体が、この問題が簡単ではないこと、そしてイヤな自分と向き合い、変わらなければならないことを示しているような気がします。
 それはともかく、本作はもちろんクズではなくて、ウォルター・ジャクソンの暖かみのある声が心に沁みます。
★★★

Produced by Carl Davis

Arranged & Conducted by Riley Hampton
Musical Director: Sonny Sanders
Engineer: Bill Bradley
Mastered by Wally Traigett
Asst. Engineers: Steve Frisk, Bobby Brooks, Richard Fairbanks
Recorded and Mixed at Universal Studios, Chicago, Ill.
Photography: Hauser / D’Orio

Oboe: Carol Stephenson
Flute: James Mack, Kaye Clements
Vibes: Bobby Christian
Percussion: "Master" Henry
Bass: Bernard Reed, Steve Rodby
Drums: Quinton "ZOP" Joseph
Piano: Floyd Morris, Ken Chaney, Ron Scott
Clavinet: Chuckie Bush
Guitar: Phil Upchurch, Danny Leake, Frank Hastik, Bruce Gaitsch
Violin: Sol Bobrov, Elliott Golub, Adrian Gola, Joel Smirnoff, Sam Thaviu, Roger Moulton, Frank Borgognone, Arnold Roth, Glen Goldsher
Viola: Harold Klatz, Marty Abrams
Cello: Karl Fruh, Elaine Mack
String Brass: Tino Calvetti
Trumpets: Murray Watson, Art Hoyle, Lionel Bordelon, Russ Iverson
Bones: John Avant, Morris Ellis, Stephen Berry, Edwin Williams
Saxes: Cliff Davis, Sonny Seals, Bill Adkins, Willie Henderson
French Horns: Bill Klingelhoffer, Ethel Merker, Maurice Grice, Gail Williams, Tom Still, Steven Lewis, Melanie Kocher

All Sax Solos
Cliff Davis

Background Vocals
Asscention (A2, A4, B1, B2, B3)
Jasmin (A3, A5)

A2 and B1 Rhythm Arranged by Sonny Sanders

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